このレクチャーでは、遺言の種類について学習します。
Table of Contents(目次)
このレクチャーの全体図
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概要
遺言には次の3種類あります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
それぞれの特徴や、遺言書として認められるための条件を整理しながら覚えていきましょう。
自筆証書遺言
遺言書
自筆証書遺言は、遺言者が、『遺言文』『日付』『氏名』を自書し、押印します。つまり、全て手書きで書かなければなりません。ただし、財産目録はPCで作成する事が出来ます。
財産目録とは、自分の財産のリストになります。例えば、不動産、預貯金、株や債券などの有価証券、生命保険、負債などを、どれだけ持っているのかを書きます。財産目録は、PCで作成OKですが、各ページごとに署名と押印が必要になります。
証人
自筆証書遺言の場合、証人は不要です。なぜかというと、家庭裁判所の検認を行うことで、本人が遺言書を書いた事を確認するからです。家庭裁判所の検認は、あくまで、偽造防止のためのものであり、遺言書の有効性を認めるものではありません。つまり、遺言書の中身が無効であったとしても、本人が書いたかどうかを、裁判所が保証するものになります。当然、遺言書が有効でない場合は、被相続人の意志通りに財産が分配されない可能性があります。ですので、遺言書の有効性を確認したい場合は、弁護士に確認してもらう必要があります。
自筆証書遺言保管制度
自筆証書遺言の場合、自筆証書遺言保管制度という、法務局の制度を使うことができます。この制度を使い場合は、検認は不要です。なぜかというと、法務局に遺言を保管する制度になりますので、保管する際に、本人が窓口まで原本を持って行くことになります。本人が原本を提出してから亡くなるまで、法務局で厳重に管理されるため、他人に遺言の中身を書き換えられる心配がありません。ですので、家庭裁判所の検認が不要なのです。
この、自筆証書遺言保管制度を使わない場合は、自宅などで保管することになります。そうすると、他人に勝手に書き換えられてしまうというリスクがあるので、家庭裁判所の検認が必要となるのです。
印鑑
印鑑は、実印でなくて問題ありません。
公正証書遺言
遺言書
公正証書遺言は、特に、自筆で遺言を書くことが難しい方が選択する方法になります。この場合、公証役場という施設で、遺言者が口述し、公証人が筆記します。そして、遺言書は公証役場に保管されます。
公証役場・公証人は、遺言や任意後見契約などの公正証書の作成、私文書や会社等の定款の認証、確定日付の付与など、公証業務を行う公的機関(法務省・法務局所管)です。中立・公正な公証人が作成する有効確実な書面を残すことにより、争いを未然に防ぐことができます。
証人
公正証書遺言の場合は、証人が2人以上必要になります。ただし、未成年や利害関係者はNGです。利害関係者とは、推定相続人や、受贈者・配偶者・直系血族になります。
利害関係者以外であれば誰でも大丈夫で、特別な資格は必要ありません。ですので、ファイナンシャルプランナーでも、証人になることができます。
家庭裁判所の検認
検認は不要です。なぜかというと、遺言書が作成された後すぐに公証役場に保管されますので、他人に遺言書を書き換えられる心配がないためです。
印鑑
印鑑は、実印を使用します。銀行などで使う認印は認められませんので注意が必要です。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にして、存在だけ証明してもらう方法になります。
遺言書
遺言者が作成した遺言書に、公証人が日付などを記入します。公証人も、中身の内容は一切わかりません。「遺言書が存在する」事のみ証明します。
証人
証人は、2人以上必要で、未成年や利害関係者はNGです。
証人も、遺言が存在していることは確認する事ができますが、中身については全く知らない状態になります。
家庭裁判所の検認
秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要です。なぜかというと、遺言書は、遺言者自身で保管する必要があるためです。自筆証書遺言の、自宅などでの保管と同じで、他人に書き換えられてしまう可能性のある場合は、『書き換えられていない』ことを証明するために、家庭裁判所の検認が必要になるのです。
印鑑
印鑑は、実印でなくて問題ありません。
まとめ
今回は、遺言の種類について学習しました。
各遺言の概要や、証人が必要かどうか、家庭裁判の検認が必要かどうかなど、整理して覚える必要があります。『このレクチャーの全体図』を見ながら、もう一度整理しましょう。
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