このレクチャーでは贈与の種類について学習します。
前回のレクチャーでは、贈与の契約は、その都度契約を結ぶことになると学習しました。しかし、このレクチャーで学ぶような条件付きの贈与も存在します。4つの条件付き贈与の種類を確認していきましょう。
このレクチャーの全体図
定期贈与
定期贈与は定期的に一定額を贈与する契約になります。例えば、「毎月10万円支払います」というような 契約になります。この契約の場合、効力を失うのは贈与者または受贈者が死亡したときになります。贈与契約は、当事者同士の合意に基づく契約になりますので、当事者のうち、どちらかが亡くなれば効力を失います。また、その契約の権利が他人に移るということはありません。
負担付贈与
負担付贈与は、受贈者に一定の義務を負わせる契約になります。例えば「ローン1,000万円を引き継ぐなら土地をあげるよ」というような契約になります。このような契約では、土地を受け取った側(受贈者)がローンの支払いを履行しなかった場合は、契約を解除することができます。
停止条件付贈与
停止条件付贈与は、条件が成就することにより効力が生じる契約になります。例えば母親が娘に対して「結婚したら結婚式代を出してあげる」というような契約になります。この契約の特徴としては、条件を満たすまでは効力は停止しているという点にあります。結婚するという条件が成就して、初めて契約の効力が生じます。
死因贈与
死因贈与とは、贈与者の死亡により効力が生じる契約になります。例えば「私が死んだら、この店をあげよう」というような契約になります。この贈与で注意するべきポイントは4つあります。
- 相続税の課税対象
- 贈与というのは生存している個人から個人へ財産を渡すことを指します。死因贈与では財産が受け渡される時には贈与者が亡くなっていますので、亡くなった故人から財産が他人に移動する場合は相続という扱いになります。相続については「相続・相続税」のレクチャーで詳しく解説します。
- 死因贈与は双方の合意が必要
- 贈与は当事者同士の合意が必要になります。死因贈与も同じように双方の合意が必要です。
- ※相続の場合は、贈与者(被相続人)の単独行動で成り立ちます。贈与の時と違って、相続は遺言で一方的に財産を贈ることができます(ただし、相続人(受取る側)が相続放棄をして受取らないという選択をすることもできます。)
- 原則、遺言により撤回することができる
- 死因贈与で契約が成立しても、亡くなる前に遺言を書いておけば撤回することができます。
- 効力を失うのは、贈与者が死亡するまでに受贈者が死亡した時
- 死因贈与は、財産が移るときに、受贈者が生存している必要があります。ですので、先に受贈者が亡くなった場合、その時点で効力を失います。
まとめ
以上が「贈与の種類」についての解説になります。
各用語と、契約が成立する条件・解除される条件を整理して覚えましょう。また、死因贈与については、相続についてのレクチャーを学習した後にもう一度復習して、贈与と相続の違いを区別できるようにしましょう。