このレクチャーでは、路線価方式の計算方法について学習します。
Table of Contents(目次)
このレクチャーの全体図
概要
FP2級試験で出てくる線価計算のパターンは、次の3つです。
- 一方のみが道路に面している宅地
- 角地・準角地
- 正面と裏面が道路に面している宅地
一方のみが道路に面している宅地の計算方法
道路には上図のように、『200C』のような記号が書かれています。アルファベットの"C"については次のレクチャーで詳しく説明しますので、ここでは200という数値を使います。
(※今回は自用地 (土地が自分の所有物で、自分で使用しているもの)の解説になります。アルファベットについては、借地権(誰かに土地を貸している/ 誰かの土地を借りている)に関する記号になり、次のレクチャーの内容になります。)
200という数値は1㎡当たりの価額を表しており、単位は千円になります。ですので、上図の場合は、1㎡当たり20万円(200×千円)の評価額ということになります。
次に見るべき数値は土地の面積です。上図の場合は600㎡になります。
続いて、補正率を確認します。FP試験では、奥行価格補正率や間口狭小補正率、奥行長大補正率など、いくつかの補正率が問題文に出てきます。(※これらの補正率の値は問題文に出てきますので覚える必要はありません。) 補正率は、『土地の使いやすさ/活用のしやすさ』に応じて宅地の評価額を調整するものです。住宅地の場合、奥行きが10mから24m程度が活用しやすいとされています。住宅地で、奥行き距離が100mもある土地があったとしても、土地の活用が難しく、売却するとしても区割りする必要がでてくる可能性があります。ですので、奥行きが長すぎたり狭すぎるような土地は、補正率により価額が下がります。奥行き以外にも、間口が狭いものや土地の形が長方形のものほど補正率により評価額が下がります。
先ほど説明した補正率や、この後説明する加算率(角地のところで解説します)については、住宅地だけではなく、商業地区や工場地区などの用途ごとに定められています。FP試験では、補正率については問題文に記載されておりますので、細かく覚える必要はなく、問題文に記載されている数値を使用すれば問題ありません。
加算率については、住宅地で使用される『0.03』や『0.02』の数値については覚えておきましょう。それ以外の数値を使用する問題が出てきた場合は、他の受験生も間違えますので、気にする必要はなく、他の問題に集中しましょう。
ここまで説明してきた情報から、宅地の評価額を計算します。計算は、先ほど見てきた数値を掛け合わせます。
まず路線価は20万円(200×千円)になります。補正率は『奥行価格補正率: 1.00』,『間口狭小補正率: 0.97』,『奥行長大補正率: 0.98』になります。土地の面積は600㎡になります。
それぞれの数値を掛けると、114,072千円(1億1,407万2,000円)となります。
以上が、『一方のみが道路に面している宅地』の計算方法になります
角地・準角地の計算方法
角地と準角地の違いですが、角地は、角が十字路もしくは丁字路に面している土地になります(上図左)。準角地というのはL字型になっている道路のことを言います(上図右)。
基本的な計算の考え方は一緒です。まずは計算に使う数値を確認していきましょう。
角地・準角地ともに、それぞれ面している道路に路線価が定められています。上図の場合、300Cと200Cになっています。そして、それぞれの道路に対して補正率が示されています。上図の場合は、300Cの道路側に対して奥行補正率が0.97、200Cの道路側に対する奥行補正率が1.00となります。
続いて、側方路線影響加算率いう数値について説明します。角地は2つの道路に面しており、一方のみが道路に面している土地に比べると、利便性などの観点から評価額が高く設定されます。土地の計算をするときに、側方(正面ではない道路 (後ほど詳しく説明します))の路線価に側方路線影響加算率を掛けた数値を加え、土地の評価額を算出します。角地の場合は0.03(3%分)、準角地の場合は0.02(2%分)加えます。
(※側方路線影響加算率の数値は試験問題に出てこない可能性が高いので、覚えておきましょう。)
それでは、角地の計算を行っていきます。
まず、2つある道路のうち、どちらが正面道路か調べます。路線価と補正率を掛けた数値の高い方が正面になります。今回の場合、300C道路の291千円(300千円×奥行補正率0.97)と、200C道路の200千円(200千円×奥行補正率1.0)を比べます。300C道路の291千円の方が高いので、こちらが正面道路になります。正面道路が確定したら、②の算式に移ります。
まず、正面道路の291千円と、側方の200千円に側方路線影響加算率(0.03)を掛けたものを足し合わせます。この足し合わせた値に、土地の面積600㎡を掛けます。
これを計算すると、178,200千円(1億7820万円)となります。以上が角地の計算方法になります。
続いて準角地の計算方法を見ていきますが、準角地も角地と計算手順は一緒です。
まずは、正面道路がどちらか調べます。次に、正面道路の291千円と、側方の200千円に側方路線影響加算率(0.02)を掛けたものを足し合わせます。準角地の側方路線影響加算率は0.02になりますので注意しましょう。この足し合わせた値に、土地の面積600㎡を掛けます。
これを計算すると、177,000千円(1億7700万円)となります。以上が準角地の計算方法になります。
正面と裏面が道路に面している宅地の計算方法
正面と裏面が道路に面している宅地の計算方法も、基本的に角地・準角地と同じような考え方になります。
まず、正面道路がどちらか調べます。正面と裏面が道路に面している宅地の場合、それぞれの道路から見たときの奥行きの長さは同じですので、同じ奥行補正率を使います。300C道路の291千円(300千円×奥行補正率0.97)と、200C道路の194千円(200千円×奥行補正率0.97)を比べます。正面は300Cの道路になります。
続いて、二方路線影響加算率いう数値について説明します。角地・準角地と同じで、2つの道路に面していた方が利便性が向上するため、その分評価額が上がるようになっています。住宅地の場合は、側方に0.02(2%)を掛けた数値を加えます。この数値についても、FP試験では問題文に書いていない可能性が高いので覚えておきましょう。
それでは、計算を行っていきます。
まずは、正面道路がどちらか調べます。先ほど解説した通り、300Cの道路が正面になります。次に、正面道路の291千円と、側方の194千円に二方路線影響加算率(0.02)を掛けたものを足し合わせます。この足し合わせた値に、土地の面積600㎡を掛けます。
これを計算すると、176,928千円(1億7692万8,000円)となります。以上が正面と裏面が道路に面している宅地の計算方法になります。
まとめ
今回は、路線価方式の計算方法について学習しました。路線価方式の計算については、実技試験で出題される可能性があります。計算問題は、加算率の値を覚えておけば、あとはルールに従い数値を掛けていくだけですので、得点しやすいかと思います。過去問を何度も解いて、確実に点数を取れるようにしましょう。