このレクチャーでは、成年後見制度について学習します。
Table of Contents(目次)
このレクチャーの全体図
成年後見制度
成年後見制度は、知的障害・精神障害・認知症などで、判断能力が不十分である人が不利益を被らないように保護する制度です。
- 被後見人・被保佐人・被補助人... 保護される人
- 後見人・保佐人・補助人... 保護する人
後見人になるためには、特別な資格は不要です。つまり、ファイナンシャルプランナーでも後見人になることができます。
任意後見制度
任意後見制度は、判断能力が不十分になる前に、本人が後見人を選出するものになります。(事前に備える)
公正証書で契約をします。これにより、本人がボケてしまった時に指定した人が後見人になることができます。
法定後見制度
法定後見制度は、既に判断能力がない方に対しての制度になります。
後見
後見とは、判断能力を欠く状況にある人を保護するためのもので、後見人の代理によらず行った行為は取り消しが可能になります。例えば、訪問販売等で高い商品を買ってしまった場合など、判断能力が充分でない状態で不利益を被ってしまった場合は、取り消すことができます。ただし、日常生活に関する行為は取り消すことができません。例えば、認知症の人が買い物に行く時に、同じ商品を家に在庫があるにもかかわらず何回も買ってしまうような光景がありますが、食品・日用品のように、日常生活に関わる商品に関しては取り消すことができないので注意が必要です。
保佐・補助
判断能力の程度により、保佐・補助があります。被保佐人(被補助人)の一定の行為について、保佐人(補助人)の同意が必要になります。
「後見・保佐・補助」の開始の申し立て
開始の申し立てをできるのは、次の方々になります。
- 本人
- 配偶者
- 4親等内の親族
- 後見人
- 保佐人
- 補助人
- 検察官
- 市区町村長など
上記の方たちは、本人の判断能力が不十分になったと判断した時に、「本人」の住所地管轄の家庭裁判所へ申し立ての書類を提出することになります。
補足 [成年後見制度と認知症検査の重要性]
認知症疑いの高齢患者に3億円を寄付させたのは無効だとして、遺族が金沢医科大学などに損害賠償を求める裁判を起こしました。
https://www.youtube.com/watch?v=MW36wQh6X0E
この裁判は、金沢市の機械メーカー「澁谷工業」の社長だった澁谷弘利さんの遺族が起こしたものです。澁谷弘利さんに認知症の疑いがあったにもかかわらず、大学側が3億円の寄付をさせたということで、遺族と大学が対立しているものです。
このようなトラブルにならないためには、
- 認知症の疑いがある時点で、正式な検査を経て『認知症』の認定を受ける
- もし、入院中の病院で認知症の検査を拒まれた場合は、他の病院に無理やり連れて行ってでも認定を受ける
- 認知症かどうかわからなくても、高齢になったら検査だけでもする
- 家庭裁判所へ申し立ての書類を提出する
の2点を、面倒くさがらずに今やる事です。そうしないと、高額な寄付や買い物に対して、支払ったものを取り返すことができなくなります。成年後見制度について詳しく学習し、不利益を被らないように保護する事がとても重要なのです。
まとめ
今回は、成年後見制度について学習しました。この制度は、ご家族(父母・祖父母)の財産を守るために必要な制度であり、詐欺まがいの製品を買わされたり、寄付という名目で財産を奪われないよう、この制度を活用する必要があります。