このレクチャーでは、贈与の契約の注意事項について学習します。
前回までのレクチャーでは、贈与契約は書面による贈与と、書面によらない贈与(口約束など)があるということを学習しました。このレクチャーでは、それらの契約の、撤回や瑕疵(かし)責任について学習します。
Table of Contents(目次)
このレクチャーの全体図
契約の撤回
契約の撤回は、「書面によらない贈与」と「書面による贈与」で対応が変わります。
書面によらない贈与(口約束)
各当事者が解除することができます。口約束の場合は撤回の要件は緩くなっており、『やっぱりやめた』と贈与者の一言で撤回する事ができます。
ただし、既に贈ってしまった財産については撤回することができません(取り戻すことはできません)。
書面による贈与
相手の承諾がないと撤回できません。書面により、きちんとした形で契約した場合は、相手が応じないと撤回ができなくなります。ですので、贈与者の都合で『やめた』という事はできず、受贈者の了承を得る必要があります。
契約の撤回(夫婦間の場合)
婚姻中 (書面の有無は問わない)
婚姻中であれば、書面による贈与であったとしても、第三者の権利を侵害しない限りはいつでも一方から撤回することができます。
夫婦関係が破綻している場合
夫婦関係が破綻している場合は、お互いに"赤の他人"とみなされることになるので、お互いの合意がなければ取り消すことができません。例えば、夫婦関係が破綻し、『養育費を毎月払う』という契約をした場合は、一方から勝手に撤回することができない、ということになります。
瑕疵責任
瑕疵(かし)とは『不具合や欠陥』のことを言い、瑕疵責任とは『不具合や欠陥があった時に、損害を補填するなどの責任を負うこと』を言います。
しかし、贈与の瑕疵責任については『贈与者は贈与したものの瑕疵または不存在についてその責任を負わない』としています。例えば、家を贈与したとして、その家が雨漏りしていたとします。この雨漏りの事実について贈与者が知らなかった場合は、屋根の修理代などを贈与者が負担する必要がない、ということになります。
ただし、その事実を知っていたのに受贈者に対して告げなかったときは、責任を負うことになります。
まとめ
今回は『贈与契約の注意事項』について学習しました。
撤回できる条件については、それぞれ整理して覚えましょう。
また、贈与契約の瑕疵責任については、贈与者が把握していなかった瑕疵については責任を負わないという事を覚えておきましょう。